XMでは、OIL(WTI原油)とBRENT(北海ブレント原油)の2銘柄が提供されており、FX通貨ペアと同じ口座タイプで取引することが可能です。
しかし、証拠金や限月などFX通貨ペアとは一部ルールが異なる部分もあるため、少し原油の取引にハードルを感じてしまっている人もいるでしょう。
本記事では、XMの原油取引を始める前に必要な知識からおすすめの取引手法まで、全て詳しく解説いたします!
【はじめに】XMの原油取引の特徴
まず取引を始める前に、XMの原油(OIL・BRENT)について理解しておくことがいくつかあります。
一般的な銘柄の特徴からXMで取引する場合のポイントまで、ざっくりと把握していきましょう。
2つの原油(OIL・BRENT)について
原油は最も重要なエネルギー資源の1つであり、世界経済とも密接な関係を持っています。
XMではWTIとBRENTという2つの原油銘柄が提供されていますが、これらの違いは産出される場所です。
具体的には、WTIはアメリカのテキサス州で、BRENTは北海(イギリスとノルウェーの間にある海)で算出されています。
ボラティリティが大きい
原油はボラティリティの大きい商品であることで知られています。
これは、原油の需要・供給が、世界情勢に大きく左右されるためです。
- 主要産油国の協調減産や増産
- OPECプラスの政策によるもの
- 大国の景気動向による需要の変化
- 米国・中国など
- 地政学リスク
- 中東地域の紛争
- パンデミック
CFD取引である
CFD(差金決済取引)とは、現物資産の受け渡しを行わず、価格変動による差額だけをやり取りする取引のことです。
XMでは原油の取引はCFDのみとなっており、現物を取り扱うことはできません。
一方、CFD取引には次のようなメリットもあります。
- 現物の原油を受け渡す・引き取る必要がなく、個人投資家も参入しやすい
- レバレッジをかけた取引が可能である
- 下落相場でも取引のチャンスがある
なお、XMでは他にも多数CFD商品を取り扱っています。
CFD取引についてさらに知りたいという方は、こちらの記事 をご覧ください。

先物には限月がある
XMでは通常のCFD取引に加え、原油の先物CFDも提供しています。
先物取引には限月という取引期限がついており、先物のポジションを持ったままこの期限を過ぎてしまうと自動的に決済が行われてしまいます。
マイナス価格には対応していない
XMを含む多くのCFD業者は取引プラットフォーム上で負の価格を表示・取り扱いできる設計になっていません。
MT4/MT5といったプラットフォームは通常、価格を0より下には想定しておらず、システム上マイナス値を処理できないのです。
そのためXMでは、原油価格が0ドルに達した時点でそれ以上の価格低下(マイナス化)を受け付けず、最後に取引可能な価格で全てのオープンポジションを強制決済するルールを設けています。
XMの原油(OIL・BRENT)の取引時間
XMの原油取引時間に関して、詳細な情報と注意点を解説していきます。
まず初めに、XMの原油には現物と先物の2種類の銘柄がありますが、取引時間は現物・先物(ミニ銘柄含む)で共通です。
一方、原油の銘柄によって取引時間が大きく異なるため、この点には注意が必要です。
ここでは実際の取引時間はもちろんのこと、どのようなタイミングでスプレッドが広がりやすいのか、どの時間帯がトレードチャンスになりやすいのか、といった実践的なポイントも押さえていきます。
原油(OIL・BRENT)の市場取引時間
取引時間 | |
---|---|
夏時間 | 月曜〜金曜 07:05 – 翌05:55 ※金曜は翌05:10閉場 |
冬時間 | 月曜〜金曜 08:05 – 翌06:55 ※金曜は翌06:10閉場 |
例外的に取引できない時間帯(祝日・メンテナンス時)
祝日(クリスマスや年末年始)
クリスマスや年末年始といった祝日・休暇期間中、XMでは取引時間が短縮されたり休場になったりすることがあります。
うっかりポジションを持ち越してロスカットに合わないよう、祝日前後の取引時間については十分に注意しておきましょう。
ちなみに日本の祝日は関係ないため、XMでは問題なく原油を取引することができます。
なお、祝日の時間は毎年異なるため、都度XMの公式ホームページ からチェックするようにしましょう!
サーバーメンテナンス中
XMでは基本的に土曜日の夕方ごろにサーバーメンテナンスを実施しています。
ただし、平日でも数分〜数十分程度のメンテナンスが行われることがあります。
メンテナンス中は新たなポジションのエントリーや決済など、取引に関する全ての機能が利用できなくなるため、注意が必要です。
なお、メンテナンス時間はXMの公式ホームページ から確認することができます。
取引時間におけるリスク管理のポイント
取引可能時間が変更されても大丈夫なように、次の点に注意しておきましょう。
- 取引前には公式情報を確認
XM公式サイトやMT4/MT5で、最新の取引時間や休日スケジュールをチェックする習慣をつけましょう。特に海外では祝祭日のタイミングが異なるため、予想外にスプレッドが広がることがあります。 - 値動きが大きい時間帯を中心に狙うか、あえて避けるか
原油のボラティリティは、WTI(OIL)なら米国市場開場直後(22:00 – 23:00付近)、BRENTなら欧米市場開場直後(16:00 – 17:00付近)で大きくなる傾向があります。
自分のトレードスタイルやリスク許容度にあわせて、取引時間帯を選定しましょう。 - 指値や逆指値注文を有効に使う
賑わう時間帯に取引する場合、値動きが瞬間的に大きくなる恐れがあります。逆指値(ストップロス)注文を入れておかないと、一瞬の急騰・急落に巻き込まれて予想外の損失を被ることになりかねません。 - 夜間・早朝の取引に要注意
流動性が低い時間帯ほど、スプレッドが開きやすいです。特に雇用統計など重要指標発表の直後などは、通常時と比べて数倍以上のスプレッドになることも珍しくありません。
XMの原油(OIL・BRENT)のレバレッジ
原油(OIL・BRENT)のレバレッジのルールについて説明します。
原油(OIL・BRENT)には現物と先物の2種類が存在し、それぞれレバレッジのルールが異なります。
最大レバレッジについて
XMの原油に適用可能な最大レバレッジは、次の表の通りです。
銘柄名 | 最大レバレッジ |
---|---|
OILCash | 200倍 |
BRENTCash | 200倍 |
XMでは原油の現物を最大200倍、先物を最大66.6倍のハイレバレッジをかけて取引することができます。
日本国内の業者が最大20倍までのレバレッジとなっているのと比べると、XMでは先物でもその3倍、現物ならなんと10倍の規模で取引できます。
WTI原油(OIL)を10ロット取引する場合について考えます。
- 1ロットの価格:11,000円
この時、国内業者(レバレッジ20倍)とXMの最低必要証拠金は、次の表のようになります。
最低必要証拠金 | |
---|---|
XM | 5,500円 |
国内業者 | 55,000円 |
国内業者と比べて、要求される証拠金がかなり少ないことがわかります!
XMで原油(OIL・BRENT)ハイレバレッジ取引するメリット
XMでは原油(OIL・BRENT)を最大200倍のハイレバレッジで取引することができますが、実際のところどのようなメリットがあるのでしょうか?
具体的な取引状況を取り上げつつ、確認していきましょう。
少額の資金から大きな利益を狙って取引できる
先述の通り、XMでは最低必要証拠金の金額が極めて低く、数十円〜数千程度の資金でも原油取引を始めることができます。
例えば1万円の証拠金があれば、最大200倍のレバレッジをかけて約200万円相当のポジションを持つことができます。
資金効率が高いため、少額の資金しか用意できない初心者の方でも原油取引への投資チャンスがあります!
短期売買でも利益が狙える
ハイレバレッジは比較的小さな価格変動からも利益を狙うことが可能となっています。
例えば1日中の値動き(数十円幅)であっても、レバレッジをかけて大きなポジションを持てば十分な利益を狙うことができるのです!
原油価格はWTI、BRENTともに1日に数百円〜1,000円前後の値動きをする商品であるため、うまく入れば取引に成功すれば1日に数十万円の利益を狙うことも可能です!
XMではスキャルピングも禁止されていないため、数秒から数分といった極めて短期間の利ザヤを狙うトレード手法を取ることも可能です!
追証のリスクがない
通常、ハイレバトレードには「追証のリスク」がつきものです。
追証とは「追加証拠金」のことで、取引に失敗した場合にロスカットが間に合わず口座残高がマイナスとなると、不足分の証拠金をトレーダーは追加で入金する必要があるというものです。
ただし、XMでは原油取引でもゼロカットシステムが適用されており、ハイレバ取引をしてもトレーダーが入金した証拠金以上の損害を被ることはありません。
他の海外FX業者とのレバレッジ比較
海外FX業者の中でも、XMの原油取引の最大200倍レバレッジはトップクラスです。
参考までに、他の業者の原油のレバレッジを一覧でご紹介します。
FX業者 | 最大レバレッジ |
---|---|
VantageTrading | 500倍 |
ThreeTrader | 200倍 |
Axi | |
exness | |
bigboss | 100倍 |
FXGT | |
HFM | WTI原油:50倍 BRENT原油:66倍 |
TTCM | 25倍 |
AXIORY | 20倍 |
原油はボラティリティの大きな商品であるため、どの業者もFX通貨ペアより厳しいレバレッジ制限を設定しています。
100倍以上のハイレバレッジを提供している業者は限られており、原油をハイレバ取引したい場合にはXMは大変おすすめの業者と言えます!
XMの原油(OIL・BRENT)のロット条件
ロットとは「金融商品の取引数量の単位」のことです。
金融商品を取引する際には商品を1つずつ取引するとは限らないため、複数個の金融商品の塊を1として数える「ロット」という単位が用いられるのです。
鉛筆を「1ダース」で数えたり、卵を「1パック」ごとに数えたりするのと同じだと考えていただいて大丈夫です。
本記事では、XMの原油(OIL・BRENT)のロットに関する条件や取引する上での注意点について解説します。
1ロットあたりの取引量
XMの原油の1ロットあたりの取引量は、銘柄ごとに異なります。
銘柄名 | 1ロットの取引量 |
---|---|
OILCash | 100 Barrels |
BRENTCash | 100 Barrels |
基本的に現物・先物ともに、1ロットあたりの取引量は100Barrelに設定されています。
ただ、原油はボラティリティの大きな商品であるため、より少額から投資を始めたいという需要もあります。
XMでは小規模の取引のニーズにも答えるべく、WTI原油(OIL)についてはオイルミニ(OILMn)という銘柄を用意しています。
OILMnではWTI原油を通常の10分の1の規模で取引することが可能となっており、より繊細な取引が可能となっています。
WTI原油(OIL)を、次のような条件で取引した。
- 口座タイプ:スタンダード口座
- 取引サイズ:1ロット
- エントリーポジション:ロング(買い)
エントリー後にOILが10ポイント上昇した場合、取引での利益は1,000ドル(約15万円)となります。
取引ツールに表示されている価格は1 Barrelの価格です。
そのため、1ロット取引した場合の証拠金や利益を計算する場合には、1ロットあたりの取引量を掛け算する必要があります。
原油の取引では、マイクロ口座であっても他の口座と同じ取引サイズとなります。
最小・最大ロット数
XMの原油の最小・最大ロット数は銘柄によって異なります。
原油(現物)の最小・最大ロット数
原油の現物取引は、MT5口座のみで可能となっています。
ロット数の制限の違いは、銘柄のみによって決まります。
最小ロット数 | 0.01ロット |
---|---|
最大ロット数 | 300ロット |
原油(先物)の最小・最大ロット数
原油の先物取引は、MT4・MT5口座の両方で可能となっています。
ただし、MT4・MT5のどちらで取引するかによってロット制限が変わる点に注意が必要です。
最小ロット数 | MT4:1ロット MT5:1ロット |
---|---|
最大ロット数 | MT4:12,500ロット MT5:280ロット |
ロットサイズの選び方と注意点
XMでは非常に自由度の高いロット設定が可能ですが、その分リスク管理も自分で行う必要があります。
実際に取引する際に注意すべき点について、解説していきます!
自分の資金と相談して余裕のあるロットを持つ
口座残高に対して適切なロット数を選びます。
一般的には、1回のトレードで口座残高の数%以上をリスクに晒さないのが望ましいとされています。
例えば残高10万円なら、1回の損失を最大でも5%(5,000円)程度に抑えるよう計画し、その範囲で収まるロット数を逆算します。損切り幅が100円なら50ロットで5,000円の損失見込み、といった具合です。
自分の口座残高に対して過剰なロット数を持てば、たとえ証拠金維持率に余裕があったとしても、あっという間に許容範囲を超える損失が出てしまうリスクがあります。
余裕をもったロット設定で、万一の連敗にも耐えられるようにしましょう。
まずは小ロットから始めてみる
特に初心者のうちは「小さく始める」ことが鉄則です。
XMの原油取引は最小1ロットから取引可能です。また、WTI原油についてはミニ銘柄が用意されており、そちらは通常の銘柄の10分の1の取引量からエントリーすることが可能です。
小ロットで取引するメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
リスクが抑えられる 精神的に安定してトレードできる 資金が少なくても長くトレードできる確率が上がる | XMのハイレバレッジを活かしきれない |
原油の取引単価は他のCFD銘柄と比べると比較的大きく、ミニ銘柄であってもそれなりの損益が発生することがあります。
まずはロット数を上げずに小さい規模で取引の練習をしてから、本番の取引に臨むことをおすすめします!
指標発表・地政学リスクによるロット制限に注意する
原油価格は金融ニュースや戦争などの地政学リスクに特に影響を受けやすい商品であり、価格変動リスクが拡大する際には、XMがレバレッジに制限をかけることがあります。
証拠金に余裕がないギリギリのロット数で取引していた場合には、この制限によってロスカットにかかってしまう可能性があるため、注意が必要です。
XMの原油(OIL・BRENT)のスプレッド
原油取引にも手数料としてスプレッドが設定されていますが、XMでは業界最安レベルの狭さで提供されています。
本章では、XMのスプレッドの条件や他社との比較、原油スプレッド特有の性質までご説明します。

最小スプレッドについて
XMの原油の最小スプレッドは、全ての銘柄において共通で、0.03pipsに設定されています。
例えば原油が売り注文で75ドルで提供されている場合、買い注文は75.03ドルからエントリーできるというイメージです。
他の海外FX業者とのスプレッド比較
XMの原油取引のスプレッドは、他の海外FX業者と比べても非常に狭い水準にあります。
代表的な他の海外FX業者について、以下の表にスプレッドをまとめてみました(2025年3月時点のデータに基づいています)。
FX業者 | スプレッド |
---|---|
Axi | 0.03pips |
VantageTrading | 0.04pips |
FXGT | 0.04pips |
ThreeTrader | 0.05pips |
TTCM | 0.05pips |
AXIORY | 0.06pips |
Exness | 0.06pips |
BigBoss | 0.07pips |
HFM | 0.11pips |
※スプレッドは、全てXMのpipsに単位を合わせて表示しています。
XMではWTI原油・BRENT原油の両方で0.03pipsのスプレッドが提供されていますが、これが非常に狭い水準であることがわかります。
レバレッジの条件も合わせて考えると、唯一VantageTradingだけがXMに近い条件で原油取引を提供していることがわかります。
ただ、特にレバレッジが重要となってくる短期売買においては、取引コストをいかに削減するかがトレード成績に直結してきます。
コスト面ではXMに軍配が上がっているため、スキャルピングなどの短期売買を原油でしたいのであれば、筆者はXMの利用をおすすめします!
原油(OIL・BRENT)のスプレッドが変動する主な要因
XMの原油のスプレッドは最低0.03pipsですが、これは常に0.03pipsのスプレッドで取引できるというわけではありません。
XMでは変動性スプレッドが採用されているため、市場の状況によってスプレッドは広がることがあります。
ここでは、スプレッドに影響する主な要因を説明します。
時間帯・流動性によるスプレッド変動
スプレッドは取引参加者の多さ(流動性)に大きく左右されます。
原油の場合、銘柄ごとによって流動性が高まる時間が異なります。これは原油の産地によって、中心となる取引所が全く異なる地域にあるためです。
- 22:00 – 翌06:00頃
- WTI原油の取引の中心となっている米国市場が開場している時間帯
一方、それぞれの取引の中心となっている市場が閉場している時間帯には流動性が低下し、スプレッドが拡大する傾向にあります。
例えばクリスマスや年末年始などの大型連休中で、米国市場・欧州市場が活発でない場合もこれに該当し、場合によっては通常時の3倍以上のスプレッドとなることもあります。
ただしこのような原因によるスプレッドの拡大は一時的なものであり、連休が明けて市場が活発になると再び狭いスプレッドに戻ります。
経済指標やニュースイベントによる変動
重大な経済指標の発表やニュースイベントもスプレッド拡大の要因となります。
原油(OIL・BRENT)の場合、次のような経済指標やニュースイベントに注意する必要があります。
- EIA米国原油在庫統計
- WTI原油に直接関係するが、BRENTにも影響が波及する
- 米国内の商業原油在庫の増減を示す重要指標
- 在庫が市場予想を上回ると供給過多=価格下落の要因
- OPECプラスの生産方針
- OPECプラスは原油の増産・減産をすることで価格の安定化を図っている
- 原油全体の供給量を左右するため、BRENTやWTI原油の価格にも大きく影響する
- 米国シェールオイル動向
- 技術革新によって原油市場に参入した米国産の原油
- OPECプラスの減産によって原油価格が上昇する局面で米国のシェール企業が増産を行うことが多い
- 原油の供給弾力性を高め、WTI・BRENT両方の価格上限を抑える要因となっている
相場のボラティリティとスプレッドの関係
一般に相場のボラティリティ(変動率)が極端に高まる時、スプレッドも動的に変化します。
ボラティリティが上がると取引量自体は増えることが多いのですが、それ以上に価格変動リスクがますため、マーケットメイカーが注文を裁くためにスプレッドを拡大するケースがあります。
例えば2020年4月のWTI原油暴落時には、一時的に通常時より大幅にスプレッドが広がりました。
もっとも、適度なボラティリティで売買がバランスよく行われている場面では、スプレッドはむしろ狭く安定しています。
以上のように、原油(OIL・BRENT)のスプレッドは米国や産油国の経済ニュース・動向によって大きく変動します。特に初心者の方は、できるだけ指標発表付近では取引を控え、相場が落ち着いている時間帯を選んで取引することで不意のスプレッド拡大によるコスト増大を避けられます。
XMは基本的に狭いスプレッドを維持していますが、油断せず経済カレンダーをチェックしたり、市場参加者の多寡を意識してトレードすることをおすすめします。
また、実際にスプレッドによってどの程度のコストが発生しているのかを知っておくことも重要です。
取引コストの計算方法については、こちらの記事で解説しています。
XMの原油(OIL・BRENT)のスワップポイント
スワップポイントとは、FX通貨ペアにおける「取引する通貨ペア間の金利差」のことを指します。
XMでは原油の取引についてもスワップポイントが発生します。

スワップポイントの条件
XMでは、原油の先物取引にはスワップポイントが発生しません。
現物取引(Cashがつく銘柄)については、以下のようにスワップポイントが発生します。
売スワップ | 買スワップ | |
---|---|---|
OILCash | -1.97 | 0.41 |
BRENTCash | -3.72 | 1 |
売スワップではマイナス、買スワップではプラススワップが発生しています。
また、木曜日から金曜日にポジションを持ち越した場合には、通常の3倍のスワップポイントが発生する点にも注意が必要です。
XMにおける原油(OIL・BRENT)のスワップポイントの仕組み
XMが提供する原油(OIL・BRENT)の現物取引では、ポジションを翌日に持ち越す際にスワップポイント(オーバーナイト金利調整)が発生します。
原油取引は全ての米ドル建で決済されるため、基本的には米ドルの政策金利がスワップポイントに影響します。
ただし、原油のような商品の場合には特有のスワップに影響する要素が存在します。
コンタンゴとバックワーデーション
原油CFDならではの大きな特徴が、先物市場の「コンタンゴ」「バックワーデーション」構造によって発生するロールオーバーコスト・益です。
原油先物は限月ごとに価格が異なるため、ポジションを維持する際は定期的に先物を乗り換える(ロールオーバーする)必要があります。
そして、ロールオーバー前とロールオーバー後の原油価格が異なる場合、その価格差分を埋めるための調整コスト(または調整利益)が発生することがあります。
- コンタンゴ
期先(先の限月)の先物価格が期近(直近限月)よりも高い状態を指します。一般的には、原油の保管コストや金利コストなどを織り込んだ結果、先の限月ほど価格が高くなる傾向があります。
買いポジションを長期保有している場合、このコンタンゴ状態では期近から期先へ乗り換える際に差額コストが発生しやすく、結果的にスワップ(あるいはロールオーバーコスト)の負担が大きくなるケースがあります。 - バックワーデーション
期先の先物価格が期近よりも安い状態を指します。需給の逼迫や地政学リスクなどで現物が割高になりやすいときに生じることがあります。
買いポジションの場合、ロールオーバー時に期先の方が安ければ差額がプラスに転じる可能性があり、スワップ(またはロール収益)が得られることもあります。売りポジションの場合は逆の影響を受ける点に注意が必要です。
XMの現物は限月に関係なくポジションを保持し続けることができますが、代わりにスワップポイントによってロールオーバー時に発生するコストを少しずつ負担しているのです。
他の海外FX業者とのスワップポイント比較
原油(OIL・BRENT)のスワップポイントは、ブローカーによって大きく異なります。
XM以外の主な海外FX業者の原油の1日当たりスワップポイントは、以下の通りです(XMの1 Barrels相当に換算)。
WTI原油(OIL)
FX業者 | スワップ |
---|---|
AXIORY | -4.36866 |
VantageTrading | -2.62903 |
BigBoss | -0.46 |
ThreeTrader | -6.02 |
HFM | -5.0 |
FXGT | -2.45 |
Exness | -1.28 |
TTCM | -7.74 |
Axi | -2.2 |
BRENT原油
FX業者 | スワップ |
---|---|
AXIORY | -3.69749 |
VantageTrading | -2.00967 |
BigBoss | -0.47 |
ThreeTrader | -1.82 |
HFM | -4.7 |
FXGT | -3.5 |
Exness | -1.33 |
TTCM | -6.82 |
Axi | -2.0 |
他社とのスワップ比較の総合評価
XMのスワップポイントは買いスワップではプラスとなっているものの、他社と比べるとやや少なめの額が設定されていることがわかります。
このため、XMではプラススワップ狙いで原油の取引をすることはあまりおすすめできません。
原油の現物の買ポジションを日を跨いで持った場合も、スワップはおまけ程度に考えておいた方が良いでしょう。
なお、スワップポイントによるコストの発生コストの計算方法は、こちらの記事で解説しています。
XMの原油(OIL・BRENT)の証拠金・取引コスト・損益計算方法
ここでは、原油(OIL・BRENT)を取引する際の必要証拠金の求め方や取引コスト・損益計算の方法について詳しく解説します。
原油取引での勝率を上げるため・損失リスクを背負い過ぎないためには必ず役にたつ知識ですので、しっかりと確認していきましょう!
必要証拠金の計算方法
XMで原油を取引する場合、次のような計算式で必要証拠金を求めることができます。
必要証拠金 = 現在価格 × 1ロットあたりの取引量 × ロット数 ÷ 適用レバレッジ
基本的には1ロットあたりの取引量は100 Barrelsなのですが、ミニ銘柄のみ1ロットで10 Barrelsとなっているため注意が必要です。
ここからは取引事例を取り上げつつ、実際に必要証拠金を計算して求めてみましょう。
WTI原油先物(OIL-APR25)を次のような条件で取引します。
- エントリー価格:70.00ドル
- 取引ロット数:3ロット
- 適用レバレッジ:66.6倍
OIL-APR25の1ロットあたりの取引量は100Barrelsです。
よって、WTI原油先物の必要証拠金は
70.00 × 100 × 3 ÷ 66.6 = 315ドル(約47,000円)
となります。
非常にシンプルな計算式で必要証拠金を求められることがわかります。
同じロット数でも、ミニ銘柄の場合には10分の1の証拠金を用意することで取引を始めることができます!
取引コストの計算方法
続いて、原油(OIL・BRENT)の取引コストの計算方法について解説します。
XMでの原油取引において純粋なコストとなるのはスプレッドのみです。
スワップはポジションによってプラススワップとなり、利益を得ることができます。
XMのスプレッドによる取引コストは、次のように計算することができます。
スプレッドコスト = ( 買値 − 売値 ) × 1ロットあたりの取引量 × ロット数
基本的に原油取引は1ロット=100Barrelsで取引されていますが、ミニ銘柄のみ1ロット=10Barrelsでの取引となっているため注意が必要です。
ここからは取引事例を取り上げつつ、実際にスプレッドコストを計算して求めてみましょう。
WTI原油(OILCash)の買ポジションに、次のような条件でエントリーしました。
- 買値:70.04
- 売値:70.00
- 取引ロット数:3ロット
OILCashの1ロットあたりの取引量は100Barrelsです。
よって、WTI原油のスプレッドによるコストは
( 70.04 −70.00 ) × 100 × 3 = 12ドル(約2,000円)
となります。
WTI原油は大きく値動きする商品であるため、十分に狭いスプレッドが提供されていることがわかります。
損益計算方法
XMの原油(OIL・BRENT)の取引をする場合、利益(または損失)が発生するタイミングは次の2種類あります。
それぞれ確認していきましょう!
ポジション決済時の損益計算
原油のポジション決済時の損益は、次のように計算することができます。
損益額 = ( 売値 − 買値 ) × 1ロットあたりの取引量 × ロット数
買ポジションから入った場合、エントリー価格が買値、決済価格が売値となります。
反対に売りポジションから入った場合は、エントリー価格が売値、決済価格が買値となります。
ここからは取引事例を取り上げつつ、実際に損益計算をしてみましょう!
WTI原油を次のような条件で取引しました。
- エントリーポジション:70.00
- 決済ポジション:72.00
- ロット数:10ロット
この時、損益額は
( 72.00 − 70.00 ) × 100 × 10 = 2,000ドル(約30万円)
となり、約30万円の利益が出たとわかります。
スワップ発生時の損益計算
XMの原油取引でのスワップポイントによる損益は、次のように計算することができます。
スワップ損益 = スワップポイント × ロット数 × 日数
ここからは取引事例を取り上げつつ、実際にスワップ損益を計算して求めてみましょう。
BRENT原油(BRENTCash)の買ポジションに次のような条件でエントリーし取引しました。
- 取引ロット数:10ロット
- 買スワップ:1
- ポジション保有期間:火曜〜金曜
この時、スワップポイントは火曜から木曜までで2回発生し、最後に木曜から金曜のオーバーナイトで3日分発生しています(土日分)。
よって、BRENT原油のスワップ損益は
1 × 10 × ( 2 + 3 ) = 50ドル(約7,500円)
となり、約7,500円分の利益が得られることがわかります。
【必見】XMの原油(OIL・BRENT)の分析・おすすめ戦略
ここでは、原油(OIL・BRENT)の銘柄の分析を行いつつ、XMのトレード環境に合わせてどのような戦略をとるべきか解説します。
2つの原油銘柄の違いや最新の情報を踏まえた上で、銘柄についての理解を深めていきましょう!
原油(OIL・BRENT)の市場特性
まずはWTI原油(OIL)とブレント原油(BRENT)を比較しつつ、市場の性質を押さえましょう。
WTI原油とブレント原油の違い
WTI原油(OIL) | BRENT原油(BRENT) | |
---|---|---|
産出地 | アメリカ・テキサス州 | 北海油田 |
主要取引所 | ニューヨーク | ロンドン |
決済地点 | オクラホマ州・クッシング | 北海地域全体 |
消費地 | アメリカ国内 | 欧州各国・その他の地域 |
WTI原油(West Texas Intermediate、OIL)は主に米国テキサス州で産出される原油で、米国内で消費される割合が高いため米国の原油需給や経済指標の影響を特に受けやすいという特徴があります。米国市場の指標的な原油です。
一方、ブレント原油(BRENT)は北海の複数油田(ブレントやフォーティーズ等)で産出される原油を基にした指標で、国際的な原油価格の基準として重視されています。欧州やアジアなど原油輸入国にとって価格指標となる存在です。
ブレント原油と比べて、WTI原油の方が軽質・低硫黄であり高品質な原油であると言われています。
しかしブレント原油はパイプラインや貯蔵施設の充実度においてWTI原油を上回っており、近年はブレント原油の方が高値で取引される傾向にあります。
原油価格変動の主な要因
原油市場の価格は多様な要因で動きますが、主に以下の3つの要因が挙げられます。
- 需給バランス(需要・供給)
- 石油の需要と供給のバランスが、原油価格決定の基本
- 景気・OPECプラスの動向など
- 地政学的要因(政治リスク)
- 国際情勢や紛争リスクも原油価格に影響する
- 中東・ロシアなどが典型的
- 投機的な資金の動き
- 原油市場の参加者の6割がファンド
- 投機筋の動向で価格が短期的に上下することも珍しくない
需給バランスについて
原油価格は基本的に、石油の供給量と需要量のバランスで決まります。
例えば景気が良く需要が増えると価格は上昇しやすく、景気後退で需要減少が見込まれると下落しやすい傾向があります。
また、産油国の生産動向も重要です。OPEC(石油輸出国機構)を中心とした産油国の増産・減産は供給量を左右し、市場に大きな影響を与えます。
OPECが生産を絞れば供給減少期待で価格は上がり、増産すれば供給過剰感から下がりやすくなります。
需給は短期的にはすぐ調整が利きにくく(価格弾力性が低い)ため、小さな需給ギャップでも価格が大きく動きやすい点も原油市場の特徴です。
地政学的要因について
産油国を巡る国際情勢や紛争リスクも原油価格を左右します。中東情勢の緊張は典型的で、紛争や制裁で中東の原油供給が滞る懸念が高まると、そのリスクプレミアムで価格が急騰します。
実際、「世界の原油供給6%に相当する日量570万バレルが一時停止」した2019年のサウジ主要施設へのドローン攻撃では、翌営業日にブレント原油が19%急騰する事態となりました。
また、近年ではロシア・ウクライナ問題も大きな要因です。
2022年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始すると、供給不安から原油価格は瞬間的に1バレル=130ドル近くまで急騰しました。
このように産油国や輸送路の安全保障リスクは突発的な価格変動を招きます。
投機的な資金の動きについて
金融市場における投資資金の流入出も原油価格に影響します。
ヘッジファンドなどの投機筋が強気に傾けば買いが先行して価格が上昇し、弱気になれば売り浴びせで下落する傾向があります。原油は先物市場を通じて売買されるため、実需とは関係なく短期的な思惑で価格が振れることも珍しくありません。
例えば米金融政策で金利が上がる局面では、投機資金が商品市場から引き上げられ価格が押し下げられる場合があります(資金コスト上昇で商品への投資妙味が薄れるため)。
反対に金融緩和局面では資金流入で価格が押し上げられることもあります。
また、米ドル相場も影響します。原油はドル建てで取引されるため、ドル高になると他通貨圏から見た原油の割高感から需要が落ち、価格の重しになる傾向があります。
逆にドル安は原油価格の押し上げ要因となり得ます。
以上のように、原油相場はファンダメンタルズ(需給・経済)とニュース・思惑の双方で動くダイナミックな市場です。
この複雑さこそが原油取引の難しさでもあり、魅力でもあります。
経済指標やニュースの原油(OIL・BRENT)への影響と過去の事例分析
原油相場は上述したように多面的な要因で動きますが、特に市場参加者が注目する経済指標やニュースがあります。
ここでは代表的なものと、その影響・過去の例を解説します。
- OPECの会合や発表
- 2014年の減産見送り
- 2020年の減産決定
- 2016年以降は「OPECプラス」として協調行動をとっている
- EIAおよびAPIによる米国石油在庫量データ
- 在庫量が増加すると価格は下落傾向になる
- 2016年〜2017年の在庫増大
- 2020年4月の在庫急増
- 戦争・紛争リスク
- 中東戦争、湾岸戦争、イラク戦争による価格暴騰は歴史的に有名
- 近年ではロシア・ウクライナ戦争による価格急騰
- 中東情勢のリスクは依然として続いている
- 米国雇用統計・GDP
- 雇用拡大、GDP増大で原油価格は上昇する傾向にある
- 米国金利
- 利上げで原油価格は下落傾向になる
- その他の指標
- 中国の経済指標
- IEA・OPECのレポート
OPEC:2014年の減産見送りについて
2014年末のOPEC総会では、シェール革命で台頭した米国への対抗もあってサウジアラビアが減産見送りを主導しました。
この決定は「供給過剰が続く」と市場に受け止められ、原油価格はその後急落に拍車がかかりました。
OPEC:2020年の減産決定について
2020年春、新型コロナウイルスによるパンデミックで需要崩壊が起きた際、OPECプラスは緊急会合で史上最大規模の減産を決めました。
これは供給を絞って価格を下支えする狙いでしたが、当時は需要減の衝撃があまりに大きく、減産決定後も価格は20年ぶりの安値圏まで下落しています。
減産の効果が現れるまでにタイムラグがあり、需給バランスが整うには時間がかかったためです。
米国の石油在庫:2016年〜2017年の在庫増大について
2016年〜2017年にかけて、シェール増産により米国の原油在庫は市場最高水準に積み上がりました。
この時WTI価格は低迷し、在庫統計発表直後には数分で1ドル以上下落するような動きも見せました。
米国の石油在庫:2020年4月の在庫急増について
米国オクラホマ・クッシングはWTI先物の受け渡し地点であるため、ここが満杯に近づくとWTI価格への下押し圧力が強まります。
その際たる例が2020年4月のWTI原油先物価格暴落です。
パンデミックによる需要蒸発で米国内の原油在庫が急増し、4月下旬にはクッシングの貯蔵容量が逼迫する懸念が現実味を帯びました。
その結果、WTI原油先物5月限は史上初のマイナス価格(-37.63ドル)を記録する事態となりました。
ロシア・ウクライナ戦争の影響について
ロシアは世界有数の産油国であり、欧州への主要な原油供給源でもあります。
そのロシアに対する経済制裁や戦闘拡大は供給不安を招きます。
実際、侵攻が始まった2022年2月末~3月にかけて、ブレント原油は一時1バレル=130ドルに迫る急騰を演じました。
当時は「このまま史上最高値(リーマン前の147ドル)を更新か」との観測もありました。
しかしその後、各国が戦略備蓄放出や制裁の調整(完全禁輸に同調しない国もありロシア産の迂回輸出が続いた)に動き、さらに中国のゼロコロナ政策長期化や欧米の金融引締めで需要減速懸念が台頭した結果、2022年後半には原油価格は落ち着きを取り戻しました。
2022年8月にはロシア侵攻前の90ドル台に戻り、年末には70ドル台まで下落しています。
近年の中東リスクの影響について
中東情勢も依然として原油市場のリスク要因です。
ペルシャ湾岸の紛争やテロ、例えばイランの核問題や、湾岸産油施設への攻撃(2019年サウジ石油施設攻撃など)は、常に供給寸断のリスクとして意識されます。
中東で有事が起これば原油価格が急騰・乱高下する可能性が高く、ポジション保有中のトレーダーは不測の事態に備えてストップロスを置くなどリスク管理が必要です。
米国雇用統計・GDPについて
米国の雇用統計(非農業部門雇用者数や失業率)やGDP成長率は、世界経済の健康状態を示す重要指標です。
これらが強い結果となれば経済活動の拡大=エネルギー需要増が期待され、原油価格には上昇圧力となりやすいです。
逆に予想を下回る弱い数字だと、将来的な石油需要減少懸念から原油は売られやすくなります。同時にリスクオフの動きでドル高・株安となると原油にもマイナス材料が重なります。
米国金利の影響について
FRB(米連邦準備制度)の金利政策も間接的に原油に作用します。
一般に利上げ局面では景気減速圧力やドル高を通じて原油価格の上値を抑える傾向があります。
一方、利下げや量的緩和は景気刺激・ドル安要因となり、原油需要や価格を支える可能性があります。
ただし金利と原油の関係は単純ではなく、インフレ懸念で利上げ観測が強まるときはむしろ原油高が原因だったり(資源インフレ)、逆に原油安がデフレ懸念を呼んで利下げということもあります。
また、「利上げで資金調達コストが上がると先物市場から投機資金が引くため原油が下がる」といった資金フローのメカニズムもあります。
その他の指標について
中国の経済指標(PMIや輸入統計)も近年では重要です。
世界最大の原油輸入国となった中国の景気が良ければ原油価格は押し上げられ、逆なら下押しされます。
また四半期ごとの石油需要見通しを示すIEA(国際エネルギー機関)やOPECのレポートも、市場心理に影響します。
これらで需要予測が上方修正されれば強気材料、下方修正なら弱気材料となります。
最新の市場動向と展望
- 価格は70ドル〜80ドル前半で推移
- 需要の底堅さ・米国の金融緩和などが価格上昇を後押し
- 一方でOPECの原油増産が2025年4月に控えており、一定の価格の下落圧も存在する
(ただし、減産継続の可能性あり) - ロシアウクライナ戦争・中東情勢次第で価格が急騰する可能性は常に存在する
2024年後半から2025年初頭にかけて、原油市場は需要減速と供給増加の綱引きによって価格が乱高下しました。
OPECプラスによる協調減産が価格を下支えする一方、米国など非OPEC産油国の増産や中国経済の減速が上値を抑えています。
本記事では、直近の原油価格の動きと現在注目すべき市場要因を整理し、投資戦略を立てる際の材料をご提供します!
直近の原油価格動向(2024年後半〜2025年初頭)
2024年から2025年にかけて、原油相場は「需要不安 VS 供給制約」の綱引きの構図が長く続いています。
主要な出来事を振り返りつつ、分析していきましょう。
- 2024年は全体的に価格の上下が激しい1年
- 4月には1 Barrel=91ドルを記録
- しかし、その後価格は下落し、9月には69ドル台まで沈み込んだ
- 2025年も前年の激しい値動きを引き継いでいる
- 1月には1 Barrel=82ドルまで急騰
- その後価格は下落し、2月時点で70ドル序盤〜中盤を推移
2024年の動向の詳細
指標であるブレント原油価格は、2024年初めに1バレル=75ドル前後でスタートし、4月上旬には約91ドルの年初来高値をつけました。
しかしその後、中国の需要減速懸念などから下落に転じ、9月には一時69ドル台まで沈みました。
年末にかけてはOPECプラスの減産継続もあって持ち直し、12月下旬には72ドル台で推移しています。
つまり2024年後半はおおむね70ドル前後のレンジで推移したと言えます。
2025年の動向の詳細
年明け早々に地政学リスクが意識され、一時的に原油価格は上振れしました。1月初旬にはブレントが約5か月ぶりの高値となる82ドル超まで急伸しました。
これは、米国によるロシア・イランへの追加制裁や中東情勢への不安から供給逼迫が警戒されたためです。
しかし、その後は米中新冷戦的な通商摩擦の懸念(新政権による関税措置など)が浮上し、需要見通しが悪化したことで再び75ドル前後まで反落しました。
2月中旬時点では70ドル台中盤で推移しており、弱含みの需要と十分な供給により上値の重い状況です。
2024年後半の価格下落は、中国経済の減速による需要鈍化と、米国など非OPEC産油国の増産による供給増が主因でした。
一方、年末〜年始にかけてはOPECプラスの減産姿勢や地政学リスクが改めて意識され、価格の下支え要因となっています。
現在の市場で注目すべき要因
現在の原油市場を見通す上で、以下のような供給・需要双方の要因に注目が集まっています。
- OPECプラスの減産政策とその影響
- すでに数回減産解除が延期されている
- 2025年4月に増産開始予定だが、更なる減産延長を示唆する発言もある
- 非OPEC産油国の生産動向
- 米国・ブラジル・ガイアナなどが注目されている
- 全体的に増産を進めており、市場全体の供給量が拡大する原因となっている
- 世界の原油需要動向
- 中国・インドの経済が重要
- 中国経済は減速気味である
- 一方、インド経済は順調に経済成長し続けている
- 先進国の需要は減少傾向にある
- 地政学的リスク
- ウクライナ侵攻を受けてのロシアへの制裁
- アメリカ・イスラエルとイランとの緊張
- 金融市場の影響
- FRBの金利政策
- インフレ動向
- 投機筋の動向
OPECプラスの減産政策について
主要産油国で構成するOPECプラスは、市場安定のための協調減産を継続しています。
2022年末から段階的に実施してきた大幅減産を2023〜2024年も維持・拡大し、約580万バレル/日(世界需要の約5.7%)もの供給を削減してきました。
2024年6月の閣僚会合では、需要見通しの弱さ(中国の経済減速や高金利環境)や米国の増産圧力を踏まえ、現在の減産体制を2025年まで延長する方針が決定されています。
さらに、2024年12月のOPECプラス会合では現在の減産措置の完全解除を2026年末まで遅らせることで合意し、市場の供給過剰懸念を和らげています。
こうしたOPECプラスの減産政策は原油価格の下支えに大きく寄与していますが、一方で、供給抑制による市場シェア低下や他国の増産といった副作用も無視できません。
現状、OPECプラスの協調減産は価格の底堅さを支える最大要因ですが、その効果は需要や他地域の供給動向に左右されます。今後もOPECプラスの政策発表は市場の注目を集め、減産継続か緩和かで価格が大きく反応するでしょう。
非OPEC産油国の生産動向について
OPECプラスが供給を絞る一方で、非OPECの主要産油国は増産を進め、市場の供給量は着実に拡大しています。特に米国のシェールオイル生産は驚異的な伸びを示し、2023年に日量1,290万バレルだった過去最高生産記録を2024年に更新しました。
また、新興の産油国としてガイアナが注目されています。ガイアナ沖合の巨大油田からの生産は2019年に始まったばかりですが、その後次々と開発が進み、2024年末時点で日量約65万バレルにまで増加しています。
他の非OPEC産油国でも増産が続いています。ブラジルはプレソルト層の大型油田開発により近年生産を拡大しており、2024年6月には日量340万バレル超と過去最高水準を記録しました。
年間平均ではやや調整もありましたが、オフショア(海底)油田を中心に増産基調が続いています。
要するに、OPEC以外の増産が原油市場の重石となっている状況です。
米国・ブラジル・ガイアナなどの生産拡大ペースが今後も維持されれば、OPECプラスが減産を緩めるタイミング次第では供給過剰感が一気に高まり、価格下落圧力が強まるリスクもあります。
世界の原油需要動向について
需要サイドの鍵を握るのは、世界最大の石油輸入国である中国と、新興の大口消費国インドの動向です。
2024年は中国経済の減速が顕著となり、中国の石油需要は予想ほど伸びず、原油価格の重石となりました。
これは国内経済の減速や電気自動車(EV)普及によるガソリン需要の頭打ちが背景にあります。
もっとも、2025年の中国需要はわずかながらもプラス成長に戻る見通しです。
IEA(国際エネルギー機関)の予測では、2025年の世界需要増加のうち中国が最大の寄与国ではあるものの、その増加幅は近年より大幅に縮小するとしています。
一方、インドをはじめ新興アジアの石油需要は堅調な拡大が続く見通しです。
インドは2020年代を通じて経済成長が著しく、車の普及や工業化に伴って石油消費が毎年増加しています。
先進国(OECD諸国)の石油需要は、2022~2023年こそコロナ後の回復で一時増加しましたが、2024年以降は再び構造的な減退局面に戻ると見られています。
燃費向上やEV化、また政策的な脱炭素化の動きもあり、OECDでは緩やかな需要減が続く傾向です。
世界全体の需要は新興国の伸びによってかろうじて増加している状況で、各機関の予測を平均すると2025年の世界石油需要は前年比+70~130万バレル/日程度の増加と見込まれています。
地政学的リスクについて
まずウクライナ情勢ですが、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシア産原油には各国から制裁が科されています。しかし、ロシアは中国やインドなど代替市場への輸出で一定の原油収入を確保しており、ロシアの原油輸出量自体は大きく落ち込んでいません。
2025年に入ってから米国がロシア産原油の制裁を強化する動きを見せており、これによってロシアの原油輸出が滞る可能性があります。ただ、世界全体の供給量にはそれほどの影響はなく、原油価格への影響も一時的なものにとどまるとの見方が強いです。
一方で、中東は世界の原油埋蔵量と輸出量の中心地であり、紛争が起きれば原油価格に大きな影響を与える可能性が高いです。
米国のトランプ政権が復帰したことによりアメリカ・イスラエルとイランとの緊張は高まっており、2018年のようにイラン産原油輸出をゼロ近くまで抑え込む可能性も指摘されています。最悪の場合では、ブレント価格は93ドル付近まで急騰する可能性があると分析する専門家もいます。
金融市場の影響について
米ドル建てで取引される原油価格は、ドル高になると他通貨建ての実質負担が増すため需要が抑制され、価格は下押しされる傾向があります。
2024年末からは米国のインフレ沈静化を受けてFRBが利上げ停止から利下げ検討へと舵を切る観測が強まり、ドル高にも一服感が出ています。
実際、2024年末時点でドル指数(DXY)はやや軟化し、これが原油価格を下支えする要因の一つとなりました。
インフレ動向も注視ポイントです。エネルギー価格それ自体がインフレ要因ですが、近年はサービスや食品など広範なインフレが問題となりました。
インフレが再燃すれば中央銀行は再び引き締めを強めざるを得ず、景気減速→石油需要減少という負の連鎖も考えられます。
最後に、投機資金やマーケットセンチメントも価格を短期的に振らす要因です。景気の先行きや地政学リスクに対する投資家心理が強気に傾けば原油先物には買いが入りやすく、逆に弱気になれば売りが膨らみます。
2024年は株式相場との連動やリスクオン/オフの資金移動もみられ、原油市場も純粋な需給以外の金融要因で動く場面がありました。
総じて、米金融政策とドル安/高の行方は2025年の原油価格に影響します。
足元では「米金利ピークアウト→ドル安基調→原油には支援材料」という構図ですが、仮にインフレが再加速して利下げが遠のけば、原油需要も打撃を受け価格下落要因となりえます。
金融市場発のショック(例えば株式急落や金融危機)にも注意が必要で、リスクオフ局面では原油価格も急落しかねません。
XMの取引環境に適した投資戦略
ここからは実践編として、XMで原油をトレードする際の戦略やテクニカル指標の活用法を紹介します。
まず、初心者の方にはスイングトレードをおすすめします。
原油市場に適したテクニカル指標
原油CFD取引ではファンダメンタルズも重要ですが、エントリー・決済のタイミングを図るにはテクニカル分析が有効です。
特に原油のように値動きが激しい商品では、テクニカル指標で相場の勢いや行き過ぎを把握することが利益に直結します。以下は原油トレードでおすすめの指標です。
- ボリンジャーバンド
- RSI(相対力指数)
- MACD(移動平均収束拡散法)
- CCI(コモディティチャネル指数)
- ATR(平均的な真の値幅)
ボリンジャーバンドについて
ボリンジャーバンドは価格の標準偏差(バラつき)をバンド幅で示した指標で、相場のボラティリティ(変動性)を視覚化します。
原油のように値動きが大きい銘柄では、ボリンジャーバンドのエクスパンション(バンド拡大)はブレイクアウトのサイン、バンド収縮時はレンジ相場を示唆します。
また±2σラインにタッチした局面では「行き過ぎ」と判断し逆張りエントリーを検討できます。
特にレンジ戦略ではボリンジャーバンドを使って上限バンド付近で売り、下限バンド付近で買うといった手法が有効です。
RSIについて
RSIは一定期間の上げ幅と下げ幅の比率から買われすぎ・売られすぎを測るオシレーター系指標です。
0~100%で表示され、一般に70%以上で買われすぎ(そろそろ天井)、30%以下で売られすぎ(そろそろ底)と判断します。
原油のように短期的な過熱感を掴みたい商品では非常に有用です。特にレンジ相場ではRSIが極端な水準に達したら逆張りを検討し、トレンド発生時には50%ラインをブレイクするかで強弱を判断するといった使い方ができます。
ボリンジャーバンドとRSIを組み合わせれば、バンド突き抜け&RSI極値で反転狙いといったエントリーチャンスが絞り込めます。
MACDについて
MACDは短期と長期の指数移動平均線の差分をとった指標で、トレンドの勢いや転換点を捉えるのに適しています。
MACD線とシグナル線のクロスオーバーで売買シグナルを出したり、ゼロラインとの位置関係で上昇・下降トレンドを判断します。
原油相場は一度トレンドが出るとしばらく走りやすい傾向があるため、MACDで早めにトレンド転換を察知し、順張りエントリーでトレンドに乗る戦略が有効です。
特にトレンドフォロー戦略では移動平均線やMACDが欠かせません。
CCIについて
CCIはもともと商品先物向けに開発された指標で、統計的な手法で**価格の偏差(平常値からの乖離)を測ります。
+100を超えると買われすぎ、-100を下回ると売られすぎとされ、そこからの価格修正(平均への回帰)を狙うトレードに使われます。
原油のように循環的な値動きをする商品では、CCIの極端な値を捉えて逆張りする戦術が考えられます。
またCCIはダイバージェンス(価格との逆行現象)も有効で、価格が高値更新しているのにCCIが以前の高値を超えられない場合などはトレンド転換のシグナルになります。
オシレーター系指標としてRSIと似ていますが、よりボラティリティの影響を受けやすく敏感な動きをする点で、短期売買には面白い指標です。
ATRについて
ATRはAverage True Rangeの略で、その期間内に価格が平均どの程度動いたか(高値と安値の差の平均)を示すものです。
これは直接売買のシグナルを出すものではありませんが、相場のボラティリティを数値化することで適切なストップロス幅の設定などに役立ちます。
例えば原油のATRが大きく上昇している場合、それだけ日々の値動きが荒いことを意味するため、狭すぎるストップだとすぐ狩られてしまうでしょう。
ATRを参考に「いまの相場なら最低でも◯ドル離して逆指値を置こう」と決めることで、通常の変動で不必要に損切りされるのを防ぐことができます。
またATRが低水準まで落ち着いてきたら「そろそろ大きな動きが近いかも」と警戒することもできます。
以上の指標はMT4/MT5上で誰でも利用できますし、XMの口座でももちろん使えます。
大事なのは指標同士を組み合わせて相場環境に適した戦略を立てることです。
例えば、「強いトレンドが出ている」と判断したら移動平均線・MACDを重視し、押し目・戻りを狙う。
また「レンジだな」と思えばボリンジャーバンド・RSI・CCIで逆張りポイントを探す、といった具合です。
原油はトレンド相場とレンジ相場が周期的に訪れるので、それぞれに対応した指標を使い分けましょう!
短期トレードと中長期トレードの戦略
次に、取引スタイル別に原油トレードの戦略を考えてみます。
短期と中長期のトレードでは、アプローチが大きく異なります。
それぞれの特徴について確認していきましょう!
- 短期トレード(スキャルピング/デイトレ)
- 数分~数時間単位で売買する短期志向のトレード
- スキャルピングでは主に5分足や15分足チャートを使う
- ブレイクアウト手法(重要な価格帯の突破に乗る)やレンジ逆張りが一般的
- デイトレード
- その日の主要イベント(指標発表や要人発言)を把握してトレード
- 日中足チャート(1時間足や4時間足)で節目を確認し、15分足でタイミングを計るというように複数時間軸を見てトレード
- 中期トレード(スイングトレード)
- ポジションを数日~数週間保有するトレード
- 原油はトレンドが出ると数週間は一方向に動きやすいため、スイングトレードとの相性は良い
- 長期トレード(ポジショントレード)
- 数ヶ月~年単位で構える超スパンのトレード
- 各国の政策や金融市場の動向を予測してポジションを持つ
- 非常に難易度が高く、初心者にはおすすめしない
初心者から中級者の方には、まずはスイングトレードくらいから始めることをおすすめします。
短期すぎる取引は経験がものを言いますし、長期すぎると分析が難しく退屈にもなりがちです。
スイングで数日の値動きを追いながら、慣れてきたら一部資金でデイトレにチャレンジする、というステップが良いでしょう。
XMの提供するMT4/MT5ではマルチタイムフレームの分析も簡単なので、短期~中期の相場観を養うのに役立ててください!
XMの原油(OIL・BRENT)に関するよくある質問(FAQ)

【さいごに】XMの原油(OIL・BRENT)を徹底解説!
ここまで、XMの原油取引について徹底解説してきました。
XMの原油にはOIL・BRENTの2種類があり、OILは米国市場・BRENTは欧州を中心とした世界全体の情勢の影響を受けやすい銘柄です。
原油価格にはさまざまな要素が影響を与えるため、初めのうちは分析が難しいと感じたり市場が思ったのと逆の動きをしたりするということもあると思います。
ただ、確かに原油CFDは難しい面もありますが、その分うまく波に乗れれば利益チャンスも大きい商品です。
十分な知識と戦略をもって臨めば初心者でも決して怖がる必要はありません。
ぜひ本記事の内容を参考に、原油トレードにチャレンジしてみてください!
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